株式会社複合物流|隊列・自動走行ビジネス化の総合コンサルタント|神奈川県横浜市

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デジタル庁における「モビリティーワーキング」(第15回3/24日)での議論 特に「自動運転トラックのビジネス・エコシステム」について(根本構成員・敬愛大学教授)の論点

隊列走行の国プロが始まった頃から根本先生にはいろいろとご指導頂いておりますが、掲題のデジタル庁での「自動運転トラックのビジネス・エコシステム」についてのお話は、現時点での自動運転トラックのビジネス化の状況と課題を一番明確に示されているので、長くなりますがご紹介致します。併せて、根本先生作成のスライドもご参照されると分かりやすいです。
以下、根本先生のご発言内容です。
根本構成員: 敬愛大学の根本です。自動運転トラックのビジネス・エコシステムということで、話題提供をさせていただきます。ただいま説明がありましたように、総合物流施策大綱で自動運転トラックについて言及いたしました。前回の総合物流施策大綱では、自動運転トラックに関してほんの数行出てくるのですが、今回は半ページ以上割いてどのような政策を展開していくべきか、ということを書き込みました。
その中で重要なキーワードをあげますと、「①セミトレーラー等での自動運転の実用化も検討すべき」、「②ビジネスモデルに関する官民での検討を行うべき」、「③制度の見直しが必要ではないか」、「④高速道路外の物流施設までの区間におけるLV4自動運転の走行方法を確立したい」、「⑤自動運転トラックと貨物、港湾、空港等の輸送モードとの円滑な連携を図るべき」、「⑥合流支援・先読み情報等の路車協調システムの基準を策定すべき」、「⑦遠隔監視による一対多運行や複数事業者間での一元的な動態管理を実現するため、自動運転車両やデジタル式運行記録計等に記録されたトラックデータの利活用・連携を促す標準的なデータ形式を整理すべき」となります。
まず海外の事例を紹介したいと思います。中国のPony.ai社は、後続無人隊列走行のライセンスを取得し、商用化を目指しています。中国の長距離トラック輸送は魅力的な市場ということで自ら物流会社を設立し、運送の受託も検討しています。また、AIによる自律走行戦略を採用しており、高価な三次元地図に頼らず、安全性の高い運転を実現しました。また、AIにより低コストセンサー、すなわち性能の低いセンサーを用いて人間と同程度の判断を実現しました。
次に、アメリカのAurora社は世界で初めて、昨年4月に公道でのLV4自動運行に成功したと言われています。現在、Aurora社がトラクターを所有し運行管理していますが、2年後に自動運転技術の開発提供サービスに専念する予定です。自動運転技術開発方針としては、ルールベースの制約と機械学習を融合したVerifiable AIを採用しています。また、非常にわかりやすい安全性レポートを公開しています。
自動運転トラックのビジネス・エコシステムを考える上で、1つ目の要素となる自動運転ソフト会社のビジネスモデルを整理しました。現在Aurora社はこの中心に書いてある「Transportation as a Service(TaaS)」というモデルを採用し、商用化しています。すなわち、物流事業者に手動運転トラクターでトレーラーをAurora社のターミナルに運んでもらい、Aurora社が自動運転トラクターに交換し自動運転で長距離輸送をして、そして物流事業者にトレーラーを取りに来てもらうという仕組みです。また、2年後にはこの「Driver as a Service(DaaS)」に変えようとしています。すなわち、自動運転トラクターをできるだけ安く作り、物流会社に自動運転トラクターを保有してもらう予定です。これにより、物流会社は自社の自動運転トラクターで集荷・配達できるようになります。Aurora社は、遠隔監視、自動運転トラクターの定期メンテナンスに専念するということを考えています。
一方Pony.ai社は、DaaSも検討しておりますが、中国の長距離トラック輸送が魅力的ということで、自ら荷主と運送契約を結び、自ら荷物を集荷し、配達するということも考えております。物流事業者がいらない仕組みを考えています。
今説明したように、Aurora社は、①の切り替え拠点でトラクター交換をせざるを得ないというのは、Aurora社がトラクターを所有しているということと、三次元地図が未整備のところは走れないという要因で、交換ということが必要になります。その意味では、Pony.ai社が実現している直結の自動運転は、一歩進んだ、より進化した形態だと思います。また③の例として、中国のTRUNK社が、天津港ターミナルで、コンテナ船から無人ガントリークレーンで荷物を下ろし集荷に来たトラックに自動で積載する、自動化の進んだターミナルですが、そこに自動運転トラックを導入しています。そういう意味で、自動運転トラックと貨物、港湾、空港等の輸送モードとの円滑な連携は重要だと思います。要するに、もし物流事業者にトラクターを所有させ、二次元地図で自動運転が実現できるように進化し、Operational Design Domain(ODD)として、高速道路外も走れるようになれば、究極的に切替拠点がいらなくなるということになります。
また、制度の見直しも必要だと思います。現在、道路運送車両法、道路交通法、道路運送法の3つの法律で、少し観点は異なるものの類似の安全性の審査をして、安全保証体制を構築するように要請しています。しかしトラックはバス・タクシーと異なり、複数の県・地方運輸局を跨って運行するため、各県の公安委員会、各地方運輸局に申請が必要となるわけですが、再検討が必要ではないでしょうか。
次に、ビジネス・エコシステムですが、長距離トラックはヤマト運輸のような事業者のトラックと、特定の荷主を輸送する貸切便タイプのものがあります。時間の関係もあり、前者のケースについてビジネス・エコシステムを説明します。ポイントとなるのは、自動運転トラックの運行管理を一括受託する自動運転支援サービス会社の設立です。多くのトラック事業者が、異なるトラックメーカーのトラックを使って新東名高速道路上を走っていきますが、トラック事業者が単独で複数県に跨る運行管理、遠隔監視、駆け付け支援をするのは難しいのではないだろうか、と思っています。また、手動運転から自動運転への切替拠点も、当面は必要になってきます。日本では高速道路を基本的にODDとして認める、ということから当面必要になります。その場合も、それぞれの物流事業者が単独で拠点を整備するのは難しいので、多くの物流事業者が共同利用する公共ターミナルとして、整備すべきではないかと思います。バスタ新宿はバス会社が共同利用する施設ですが、1日1,500台以上のバスが行ったり来たりしており、その程度の規模の共同ターミナルが10年後ぐらいには必要になるのではないかと思います。
次は、遠隔監視するためのデータの標準化・公開です。中段に記載の通り、欧州ではOriginal Equipment Manufacturer(OEM)6社がFleet Management System(FMS)標準を策定しました。その後、デジタコが義務化されたこともあり、インターネット経由でFMSが使えるremote FMS(rFMS)標準ができ、サードパーティーによる運行管理サービスの市場が形成されました。トラック事業者は、A社のトラックでも、B社のトラックでも、そのデータをサードパーティーに託し、色々な運行管理サービスを受けることができます。アメリカは、FMS標準は無いものの、排ガス検査制度によりトラックデータ、ソケットが標準化されました。そしてElectronic Logging Device(ELD)という、日本のデジタコに相当する運転時間を管理する機械を義務化した関係で、そのELDメーカーがサードパーティーの役割を果たし、「色々なOEMのデータを取り込み、運行管理サービスします、健康管理サービスをします」ということで市場が形成されつつあります。両地域とも、トラックデータが公開されています。自動運転の遠隔監視サービスはまだ実現していないものの、データは容易に利用可能だということです。ところが日本は、自動運転の遠隔監視というユースケースに向け、何とかしなければという問題意識はあるものの、それに必要な最低限の項目だけ標準化するということで進んでいます。例えば、私が一番大事だと思う燃料消費量、「荷物をそんなに積んでない、タイヤの空気圧も正常、だけど燃費が1割悪い」と、一番重要な車両の健康管理につながるデータは公開しないという予定になっています。
加えて、日本は路車協調システムを構築して、高速道路の本線上の合流を支援する仕組みを開発しようとしています。ただ、アメリカ・中国を見る限り、路側からの情報提供なしで実現できています。路車協調システムの有用性を否定するわけではないですが、インフラ側で相当程度の投資が必要になるので、費用対効果を明らかにすること、また自動運転車両にどのように費用負担させるのかという仕組みを考えることが重要になっていきます。
最後のスライドでは、商用化に向けた制度的・技術的課題ということで、現状の日本のビジネス上の制約条件、ビジネス・エコシステムの課題を整理しております。この右側の課題の赤字部分はこれまで説明してきたもので繰り返しませんが、2つ目のサービス供給体制にて、「特積」は高速道路近傍の自社ターミナルから別のターミナルまで行ったり来たり、24時間自動運転トラックを利用できるため自社保有も想定されます(DaaS)。「貸切」は発荷主から集荷して一般道路を走って高速道路を使うということで、自動運転トラックを稼働率高く使えるかどうか少し疑問になるところもあり、トレーラーの高速道路上の運転を第三者に委託するということもあり得るのではないかと考えております(TaaS)。
私からの発表は以上です。どうもありがとうございました。
2026年08月12日 13:38

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