自動運転大型トラックの「受け入れ可能な車両価格」
トラックメーカーが大手運送会社に「どのくらいの価格なら自動運転大型トラックを購入してもらえるのか」ヒアリングしていると聞く。「そんな価格なら到底、導入は無理」とか、そんなやりとりしていると思われる。5年近く前に大手トラックメーカーの責任者にに直接聞いたこともあるが、議論が現行の大型トラックの価格との対比のみになっており、「自動運運を導入した時の経済効果」が全く考慮されてないことに驚いたのだが、今もってそのレベルの話をしているようである。これでは「何のために大動脈を自動運転化」するのかわからない。「高い車両は買わない」(運送会社)というが、「一般貨物運送事業の損益」に占める車両関係費用の割合は売上対比で12.9%(①修繕費4.8%②減価償却費4.5%③保険料2.0%④自動車リース料1.6%合計12.9%)程度である。これに対して直接・間接人件費の割合は約50%と、売上の半分を占めている。自動運転で仮に車両価格が倍になって車両関係費用が25.8%になったとしても、ドライバーの無人化による直接人件費(約41.3%)がゼロになれば、それで十分吸収されてしまう。(費用低減効果)
さらに、仮に東京⇔大阪間のを事例に考えると2024年以降、片道が一日行程となってしまうが、「自動運転化」によると発着地の荷作業の時間(仮に1時間ずつ要するとして)を除くと22時間の走行が可能になる。これにより現行稼働率の3.5倍に稼働が可能になります。(生産性改善効果) 即ち「物流生産性」が3.5倍になるということです。生産性が3.5倍になれば、どんなビジネスでも儲かるでしょう。
従い、車両価格が仮に2倍になろうとも、「東名阪の自動走行化のビジネス」は「とんでもなく儲かるビジネス」なのです。これをざっと計算すると、現在100億円の売上の運送会社があったとすると、売上が350億円となり経常利益が104億円になるという結果になります。机上計算に過ぎないかもしれませんが、そういう議論が必用なのです。さらに長距離になればなる程、ドライバー人件費の割合が高くなり長時間労働になるので「自動運転化の経済効果」は増加します。例えば、北九州⇔東京間は現況労働環境下1週間サイクルで動いていますが、自動運転ならば1日ちょっとで往復してしまいます。即ち、物流生産性が7倍近くなるということです。
全国トラック協会が出している「一般貨物運送事業損益明細」を基に算定してみました。
「経営分析報告令和5年3月」
https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/keiei/bunseki_r03sharyo_chiiki.pdf
「算定表」はこちら
2023年10月15日 07:08