株式会社複合物流|隊列・自動走行ビジネス化の総合コンサルタント|神奈川県横浜市

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「水素大動脈構想」に思う・・・インフラ整備とサプライチェーンの構築について

この言葉は、令和8年3月 27 日の総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 水素・アンモニア政策小委員会(第 16 回)から使われだしたと思われるが、一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会による議論に続き、同会会長でかつ一般社団法人日本自動車工業会会長を兼ねるトヨタ自動車の佐藤副会長の積極発言により俄然実現性を帯びた議論となって来た。
そして、ついに6月4日には、経済産業省により、燃料電池車(FCV)やFCトラックを活用した水素の需要拡大と供給網整備を目指す官民連携の「水素大動脈構想実現会議」の立ち上げとなった。
 
当社は「自動運転物流と脱炭素輸送は同時進行・同時成立」と考えて、「自動運転対応の物流施設」=「電動化(幹線輸送は大型FCVトラック・域内配送はEVトラック)による脱炭素輸送対応の物流施設」と定義づけて、基本設計の段階からビルトインしてきた。
 

ところで、自動運転とFCVは極めて相性が良い。充填時間は現在の軽油と同じで済むので自動運転車両を待たせる必要がない。さらに、自動運転のベースとなる認識→操作→判断(→駆動)において、実際に大型トラックが駆動する際に、自動運転車両がディーゼルだった場合には、トルクが上がるまでに時間が掛かってしまい、とっさの対応が困難であるのに対し、FCVはモーターで動くので瞬時にハンドル操作が直接駆動系に伝わり事故に至らずに済む。要は、大型トラックの自動運転はFCVかEVを前提としないと危険なのである!
 

さらに、折角、「自動運転対応の物流施設」の整備をしても、後付けで大規模水素ステーションの整備をすることは難しく、かつ輸送される水素(液化水素)のサプライチェーンまで想定してないと「脱炭素輸送(大型FCVトラック)対応の物流施設」の整備は困難である。
現在計画中のⅯ社の「自動運転対応の物流施設」でも大規模水素ステーションの整備は前提となってないようである。折角、整備しても大型FCVトラックは、どこか他のエリアで水素を充填しないといけなくなる。これでは大変不便である。
 
そんなことで、過去、何度か「水素の利活用」の話が盛り上がった都度、経済産業省(資源エネルギー)やエネルギー関連企業やトヨタ自動車にまで、「インフラ整備の重要性」を訴えてきた。特に、「水素社会推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律)」が施行された際には、自治体(神奈川県)にも「水素重点地域」はかくエリアであるべきと、提言してきた。
→「水素重点地域」が「京浜臨海エリアと県央エリア」では当たり前かつ何を言っているのか分からないので、「最大の交通量を要する横浜町田ICや次世代産業物流の中心となる新東名の実質起点となる厚木南IC周辺エリアが真っ先に対象候補地とすべきと認識する必要がある。」と提言。
水素ステーション整備の最大のネックとなっている需要動向であるが、横浜町田ICでは西側からICに至る大型車両の台数は年間で1,000万台に達する。これだけの需要があれば、現行の市中で「閑古鳥が鳴いている」ような状況には陥らないであろう。
→以下をご参照
「横浜町田IC経由市内に流入する大型トラックの量」
 
そして、今般の動きは従来の「3すくみ」を脱し本格的なビジネス化に向けたものになると判断、4月から7月に掛けて駆け足で、事業化の検証と併せて「インフラ整備」について、各方面にご理解とご協力をお願いして廻った。(これでも筆者は三井住友銀行時代は融資・審査のプロだったので事業化の可否については自分自身で徹底的に検証を行う)
 
OEMの経営幹部→自工会幹部→経産省・資源エネルギー庁→エネルギー関連企業(K社・Ⅰ社)→自民党・水素議連幹部→多数の地元国会議員(国策と自治体との連携の必要性をご説明)→最後に自民党・日本成長戦略本部幹部に対して、一通り「インフラ整備の必要性と具体策」についてご説明とご協力のお願いに廻った。
さて、そこでの結果であるが、「インフラ整備の主体」はどこなのか?というかねてから疑問とハードルに立ち返ることになる。
面談したそれぞれの分野のキーマンは、一様に「非常に重要なお話で、特定候補地で具体的に施設配置としてビルトインされていることは驚きである。」との回答になるが、そこで止まってしまう。
自動運転物流の際にはインフラ整備の重要性をⅯ社が真っ先にご理解・先導し、さらにこの分野のリーダー的な存在となりつつある。
「水素大動脈構想」においても、インフラ整備の目途がつかなければビジネス化には何時まで経っても行きつかない。どこかが先導者になる必要かある。その場合には、インフラ整備が鍵となるのだ!
重要幹線、特に東名阪のゲートウェイエリアに大規模水素ステーションが整備なくして、どうして「水素大動脈」が成立するのであろうか?
下記をご参照
「水素社会推進法」の重点地域
3/31日のブログで言及したように、基幹物流の整備においてもその主体が不明確であった。
「水素社会推進法」では、自治体(地方公共団体)は国の施策に協力して低炭素水素等の供給・利用を広げる施策を推進する「努力義務」の責務を担っているが、自治体によってその取り組み姿勢には濃淡がある。
東京都と愛知県は首長が先導して進めているが、水素コンビナート形成の計画(川崎市のJFE跡地)があり(=水素サプライチェーンの確保)、水素大規模利用の需要(=横浜町田・厚木南両IC)を抱え、OEMの本社(=いすゞ自動、三菱ふそうトラック・バス)の存在と、3拍子揃っている神奈川県や横浜市においては、自治体による踏み込んだ取り組み姿勢が見られない。
エネルギー関連企業からも「水素大動脈における水素ステーションの整備は、補助金が手厚いところから始める。」との説明があったが、本来は、「本当に必要で確実な需要があるエリア」から着手すべきではないだろうか。
OEM幹部からは「今回はトヨタさんがやるから」と、エネルギー関連企業からは「国がやるので」との発言があった。これでは従来の「3すくみ」と変わらないのではないか!?
国会議員の先生方にも多数お会いしてご説明とご協力をお願いしたが、小選挙区の弊害か、「そこは私の選挙区ではないので」との発言が相次いだ。
せめて、ご自身の小選挙区だけでなく、横浜市、神奈川県内の産業政策については、何らかのコミットが欲しいものである。
最後に7月に自民党成長戦略本部幹部とお会いした際の次のご発言が極めて印象に残った。
「やる気の自治体を責めても仕方がない。自動運転でも電動化でも国がトラックメーカーに車両の発注をするくらいでないとビジネス化は立ち上がらない。それぞれの会社や施設でバラバラのシステムを使っていては全国で使えない。こういうのも国で仕様を決めて行かないといけない。そして、最初から国外での利用を前提としてアジアに向けて車両とシステムをパッケージで売り込むくらいの気概がないと、到底米中に追いつけない。」と。
・・・全く同感である!
 本来、国策に基づく重要インフラの整備は、国の責任で進めるべきであろう。
いくら民間で地権者・住民に整備の必要性や重要性を説明しても限界がある。
①基幹物流の拠点整備、②物流の自動運転化、③「水素大動脈」が本当に必要であるならば、せめて国と自治体は連携して動いて欲しいものである。

 
2026年08月14日 16:06

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